地震のしくみ
長年にわたる地震対策事業に基づいた地震対策の基礎知識
日本では地震の科学的研究がスタートして以来、地震予知や地震危険度の予測、防災などさまざまな観点から研究が行われてきました。今では地震が発生するメカニズムも解明され、それと同時に地域による地震の発生率も示されるようになっています。一方で、地震動や地震波の研究から、地震に備えた有効な対策も普及してきています。ここでは、地震とは何なのか、どうして起こるのか、そしてどのような対策が有効なのかをイラストとともにご説明します。
地震発生のメカニズム
プレート境界型と内陸型、いずれも原因は「プレート移動」
地球の表面は幾つかのプレートで包み込まれています。太平洋プレート(海洋プレート)は隣り合うユーラシアプレート(陸プレートともいう)の下へ沈み込んでいます。この部分を海溝といい、摩擦による複雑な力が働くことで歪みが生じ、やがて蓄積された歪みは耐えられずエネルギーを放出します。その際に生じる震動が地震として各地に伝達されます。地震には陸プレート内部の弱い岩盤が破壊される「内陸(直下)型地震」と陸プレート先端部のはね返りによる「海溝(プレート)型地震」に大別されます。「内陸(直下)型」は陸プレート内の活断層でおき、比較的地表に近い場所のため、地震規模(マグニチュード)が大きいと甚大な被害を引き起こします。1995年の兵庫県南部地震や2004年の新潟県中越地震がこれにあたります。
断層
活断層の数は日本国内で約2000カ所
プレート運動により蓄積された歪みが限界に達し陸プレート内で破壊が生じた場合、断層面を境にずれ動きが起き、地震を発生します。これが断層運動です。断層は、ずれの向きによって「縦ずれ断層」と「横ずれ断層」に分けられます。傾斜方向(上下方向)に沿って上下にずれる「縦ずれ断層」は正断層と逆断層とがあり、また岩盤が水平にずれてる「横ずれ断層」は「右横ずれ断層」と「左横ずれ断層」とがあります。過去に繰り返し活動し、今後も再び活動すると考えられる断層を「活断層」といい、日本国内では約2000カ所あることが確認されています。
長周期地震動
遠く離れた高層建物にも大きな振幅を及ぼす
比較的規模の大きな地震が発生したとき、通常の短い周期の地震の揺れと異なる、数秒から十数秒の周期でゆっくりと揺れる長周期地震動が起こることがあります。長周期地震動は震源から遠く離れたところまで伝わりやすいという性質があり、また震源から離れていても大きな振幅が観測されるという特徴があります。高層建物は、長周期地震動と共振しやすいため、大きく揺れることがあります。
震度
同じ建物の中でも異なる揺れの強さ
特定の場所の地面の揺れ「地震動」の大きさを測る尺度が「震度」で、耐震工学の分野では「震度階」と呼びます。震度は、原則として地表や低層建物の一階に設置した震度計の観測値から10段階に区別しています。中高層建物の上層階では一般に地表より揺れが強くなるため、同じ建物の中でも階や場所によって揺れの強さが異なります。また、地震動の振幅(揺れの大きさ)、周期(揺れが繰り返す時の1回あたりの時間の長さ)及び継続時間などの違いや、対象となる建物や構造物の状態、地盤の状況により被害は異なります。
震度 | 人の体感・行動、屋内の状況、屋外の状況 |
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0 |
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1 |
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2 |
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3 |
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4 |
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5弱 |
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5強 |
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6弱 |
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6強 |
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7 |
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〈参考〉2009年3月 気象庁震度階級関連解説表