SPDとは?
雷害対策で重要な役割を果たすSPDとは何か?
近年、高度情報化社会の発展に伴い、落雷による情報通信システムの雷被害が増加しています。その多くは、建物に直接被害を及ぼす直撃雷ではなく、各種回線から雷サージが侵入して機器を破壊する誘導雷です。避雷針だけでは防げない誘導雷への雷害対策を担うSPD(避雷器)について、機器の破壊がおこるメカニズムからSPDの仕組みまで、分かりやすくご紹介します。
雷害のメカニズム
避雷針だけでは防げない雷の被害! 近傍に落ちた雷が各種回線を通って侵入
建物自体や建物の近くに落雷すると、建物に直接被害がなくても屋内に設置している機器や設備が破壊されることがあります。これは、近傍の落雷により発生した誘導雷が雷サージとなり、電源線や通信回線を通って建物内部へ侵入してくることが原因です。たとえ避雷針を接地している建物でも安全でないのは、誘導雷が侵入してくる可能性があるからなのです。
通過する雷サージの過電流・過電圧が機器や配線を破壊
建物内部に侵入した雷サージは過電圧・過電流となって、電源線や通信回線に接続された電子機器内部へ侵入します。両方の線につながったパソコンやファックス などの情報機器は、電源と通信回線との間で電位差が生じて一瞬のうちに破壊されるのです。
もっとも簡単な雷害対策
すべての回線ケーブルを抜けば、雷被害は防げる
もっとも簡単に雷の被害を防ぐ方法は、雷サージの通り道をすべて遮断してしまうことです。「電源を切る」だけでは通り道が遮断できないので、対策になりません。一般的に「電源コンセントを抜く」「通信ケーブルを抜く」などの対策が一番有効となります。しかし、雷の度にすべてのケーブルを抜くというのは、ネットワーク化の進む現代では現実的とは言えません。
ネットワークに繋がった機器を雷から護る保安器が、SPD
SPDが雷サージを安全に放出
電源回線も通信回線も繋がっている状態で機器の保護を実現するのが、SPDと呼ばれる雷害対策製品です。SPDとは、サージ防護デバイス(Surge protective device)のことで、雷サージを安全に放出し、過電圧・過電流が機器を破壊するのを防ぐ保安器です。「避雷器」とも呼ばれます。
SPDを電源線と通信線に適切に取り付けることで、雷サージがSPDを経由してアースなどに流れ、安全に地中へ放出されます。これにより、電源線や通信線が繋がっている状態でも通信機器を安全に守ることができるのです。
主なSPDの種類
SPDには保護対象機器や回線系統ごとに専用のSPDがラインナップされています。主なものでは、電源設備や通信機器の交流系統を保護する「電源用SPD」、電話や通信機器などの信号・通信系統を保護する「通信用SPD」、オフィスや家庭用の汎用タイプ「一般民需用SPD」などがあります。ほかにも太陽光発電システム用や鉄道信号用などの各種専用SPDも広く利用されています。
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