主な技術施設・設備
雷インパルス電流発生装置
世界最大級の
雷インパルス電流発生装置
建物への直撃雷で流入が想定される最大電流200kA(10/350μs 360kJ)を発生させることが可能な世界最大級の雷インパルス電流発生装置。2007年1月に完成したこの装置では、各種保安装置の限界性能の評価・シミュレーションを行います。
装置概要
世界最大級の電流200kA(10/350μs 360kJ)を発生
本装置は世界最大級の電流200kA(10/350μs 360kJ)を発生可能な雷インパルス電流発生装置です。この電流200kAというのはJISにおいて建物に直撃雷が発生した場合の想定最大電流値です。
出力電圧範囲 | 200kA雷インパルス電流発生装置 | |
---|---|---|
標準電流波形 | 10/350μs | |
最大出力電流 | 200kA(360kJ) | |
適用規格 | JIS、IEC規格 |
導雷害対策の必要性
年間約2000億円とも推定される被害総額
近年、落雷の被害が増加傾向にあります。原因としてオフィスや工場・家庭で使われている家電製品やコンピュータは集積回路(IC)を使用しているため雷 サージに非常に弱く、耐圧破壊を起こしやすくなっております。さらに近年のネットワーク化により電源線以外にも電話回線、制御回線などからも雷サージが侵 入してくるため事態が深刻化しております。
気象庁の発表によると年間の雷被害金額は約630億円に達すると言われております。さらに、雷による被害は『財物損害』以外に『休業損害』も必要となる ケースが増えており、これらの被害総額は年間約2000億円とも推定されています。また、そのことによる信頼の低下における損害も大きな問題となりつつあります。そのため雷害対策のニーズが高まってまいりました。
導入の背景
避雷器のJIS化に伴う避雷器仕様化の動き
前項の雷害対策のニーズが高まり、マーケットが拡大していることも導入理由の一つですが、もう一つの大きな理由に避雷器のJIS化があります。
2003年から2004年に建物内部の電気設備や電子機器の雷害対策に関する規格(JIS A 4201、JIS C 0367-1、JIS C 5381-1、JIS C 5381-12)が制定されました。それを契機に設計事務所や大手ゼネコンを中心にJISに準拠した避雷器を新たに仕様化する動きも高まっております。
しかしこの規格では従来の国内メーカーでは対応できなかった直撃雷を想定した10/350μs電流波形が新たに加わりました。この波形は従来の8 /20μs電流波形に比べてエネルギー量が約20倍も大きいため国内で発生させる試験設備がほとんどなく、JISに対応する避雷器を開発・製造・評価・検証するには、海外でコストと時間をかけて試験を行わなくてはなりませんでした。これらの背景を受けて、当社は独自に本装置を導入することとなりました。
本装置の活用
本装置の活用により、お客様の総合雷害対策をトータルバックアップ
本装置を使用してJIS規定の最大電流値(200kA)での避雷器・避雷システムの性能試験や直撃雷の侵入モデル評価試験が可能になります。また、すでに導入されている1200kV雷インパルス電圧装置では誘導評価試験が可能です。これらの装置を最大限に活用して雷害対策製品の開発から設計・製造をはじめ、製品の信頼性チェックをすることにより、お客様の総合雷害対策をトータルバックアップすることで国内トップシェアを目指します。
動作概要
試験品(避雷器)の負荷に合わせて10/350μs電流波形を出力
主回路にはコンデンサバンク、メインギャップ、クローバギャップ、インダクタ、レジスタから構成されており、試験品(避雷器)の負荷に合わせてインダクタ・レジスタを変更して10/350μs電流波形を出力します。メインギャップによって出力された電流は、インダクタ・レジスタの効果により 10μsで立ち上がり、ピーク値でクローバギャップが放電し350μsの波尾を形成します。クローバギャップは非常に速い時間領域で放電をコントロールする必要があるため、クローバ回路用IGをトリガー電圧発生器として用います。