SHODEN おかげさまで創業55周年

INNOVATIONS価値共創の現場から

お客様と接する機会のすべてが未来の安全、安心を
ともに創る「価値共創」の現場と言えますが、
これが特に際立っているのが技術施設「短絡電流試験装置」と
デモ体験施設「ソリューションラボ」です。
ここでの「価値共創」に向けた取組みを
社員の声を通してご紹介します。

〈 ものづくりの現場から 〉短絡電流試験装置

規格以上の最高品質の安全を
最新の試験装置で実現する

日本で販売するSPD(サージ防護デバイス)は汎用製品、カスタマイズ製品ともに、必ずJIS(日本産業規格)に適合する必要があります。さらに、製品の安全性は、規格で規定する要件を超えた検証が必要となります。開発製品の試験を行う現場では、日本の電力事情を知り尽くした開発者が最新の装置を使ってより質の高い安全の実現に取り組んでいます。ここから新たな価値がお客様と共に創造されている姿をご覧ください。

短絡電流試験装置SPDに特化した国内唯一の試験装置

昭電の短絡電流試験装置は、過電圧の印加によりSPDを故障させ、故障(短絡)したSPDに大きな短絡電流を通電することができる国内で唯一の装置で、SPDの短絡故障を再現することができます。
SPDの試験規格は、2004年に初めてJIS C 5381-1が制定され、2014年には更なる安全性試験を追加した、JIS C 5381-11が制定されました。2016年4月に運用を開始した短絡電流試験装置は、汎用製品に対する、JISで規定するSPD故障を模擬した試験はもちろん、製品の安全に必要な規格で規定する要件を超えた検証、さらに、より高いレベルが要求されるお客様のカスタマイズ製品の試験も行っています。

  • 雷対策システム部 課長 垣内 健介

    雷対策システム部 課長

    垣内 健介

  • 雷対策システム部 奥 知大

    雷対策システム部

    奥 知大

  • ※所属、担当業務は2019年10月時点のものです。

Case Study : 価値共創とは?

先駆者として規格をリードし、
お客様の声も取り入れるものづくり

こちらの短絡電流試験装置が関わった
価値共創と言える開発事例はありますか?
垣内垣内

2018年8月に発売した汎用製品で、電源用SPDのAFDシリーズです。SPDはかって保安器やアレスタ、避雷器と呼ばれた製品で、昭電創業以来のコア技術であり、SPDを含む雷害対策の重要性もそのころ頃からご提案し続けてきました。また雷害対策やSPDの先駆者としてJISを始めとする国内外の規格化にも昭電として積極的に貢献してきた経緯があります。

電源用SPDの沿革

  • 2004年~

    JIS化(JIS C 5381-1)

    PNシリーズ、APNシリーズ

    PNシリーズ、APNシリーズ

    (2010年発売)

  • 2014年~

    規格変更後(JIS C 5381-11)

    GNシリーズ、AGNシリーズ

    GNシリーズ、AGNシリーズ

    (2016年発売)

  • 2019年~

    お客様の声を活かして開発

    AFDシリーズ

    AFDシリーズ

    (2018年発売)

こちらの短絡電流試験装置が関わった
価値共創と言える開発事例はありますか?
垣内垣内

電源用SPDのAFD-Tシリーズは、これまでお客様からいただいていた具体的な課題や要望のほぼすべてにお応えした製品になっています。製品開発段階では何度も短絡電流試験装置で試験を繰り返し、万が一SPDが短絡故障を起こしても安全に短絡電流を遮断する構造を追求しました。また、SPDの交換作業をより安全かつ効率的にできるように使いやすく改良しています。まさにお客様の声を活かした価値共創と言えると思います。

  • 分離器内蔵による省スペース化と
    配線工数の低減
    従来製品
    従来製品
    AFDシリーズ
    AFDシリーズ
  • 安全にSPDプラグ交換可能な
    セーフティプラグイン
    安全にSPDプラグ交換可能なセーフティプラグイン
  • ねじアップ式端子台による
    配線工数の低減
    ねじアップ式端子台による配線工数の低減

価値共創へ向かう
昭電のポテンシャル

SPDに特化した試験装置
世界最大級のスペックで
未知の高負荷を想定した試験にも対応
改めて、この世界最大級の高スペックであることの意味を教えてください。
垣内垣内

分電盤やブレーカーなどのメーカーも短絡電流試験装置は所有していますが、昭電は国内で唯一、SPDの故障を模擬(再現)できる電源設備を有しています。
SPDの開発において規格の条件を満たす試験は最低限やるべきことで、実際は規格の5倍から10倍は負荷をかけて雷に対する保護性能に関する試験を行い、SPD故障(被雷)時の安全性を確認する必要性が多々あります。また国際規格(IEC)が規定する低圧範囲にも対応しており、グローバルでも通用するものづくりをめざしています。

奥

ここでは独自のトランスを用いて自由に電圧調整、短絡電流調整、印加、停止のタイミングが調整でき、お客様の設備における過電圧や過電流、短絡事故、地絡(漏電)事故の防止、ノイズでSPD自身や周辺機器を誤作動させないための耐性検証など、様々な要件の試験を可能にしています。
このように自在に条件設定が可能なので、未知の状況が想定されるカスタマイズ製品であっても、万全と言えるような試験が行えます。そうした試験には“新しい安全を創る”という意気込みで取り組んでいます。

安全を生み出すオペレーション
日本の電力事情を熟知した知見で
試験の的確な条件を設定
JISを超えるようなカスタマイズ製品は、
どのくらい高い条件で試験をするのですか?
奥

もちろんむやみに高ければ良いわけではありません。
この短絡電流試験装置は様々な分野や業界のお客様に利用いただいています。日本の電力事情に応じた最適な条件で試験を行うことで高い信頼を獲得しています。

垣内垣内

昭電は創業以来、電力や鉄道、通信といったミッションクリティカルな社会インフラの雷害対策に貢献してきました。ここで50年以上も積み重ねた知見は昭電の大きな財産になっています。このように日本の電源事情を熟知しているからこそ、的確な条件設定ができるのです。

また、2019年7月1日には産業標準化法(旧工業標準化法)が施行され、日本の産業力強化のため、国際標準化に対する、国、国研、大学、事業者の努力義務規定が追加されました。昭電は雷害対策の第1人者として、国際標準(IEC規格)の制定に加わり、国策への貢献を行っています。この度、SPD分野で、垣内氏(IEC SC37AB国内委員会SC37A担当委員長、IEC SC37A WG3,4,5エキスパート)が、IEC規格に日本の電源システム及び一時的過電圧値を試験条件に加え、SPDを日本で用いる際の安全性を向上させる貢献を行い、この実績が評価されIEC活動推進会議(IEC-APC)議長賞を2019年度に受賞しました。

故障を再現するデモンストレーション
デモを通じたお客様との対話も
価値共創の大切な機会
この短絡電流試験装置はどのように
活用されてますか?
奥

基本的には自社の製品開発を目的とした試験に使用しています。さらにここでは試験だけでなく、実際に故障の状況を再現してSPDの重要性を実感していただくデモンストレーションも行っています。

垣内垣内

製品開発の試験についてはこれまでご紹介してきた通りですが、デモンストレーションもお客様との価値共創における重要な接点になっています。
火事に備えた避難訓練が重要なのと同じで、故障は頭の中で考えているだけではなかなか具体的に起きることや影響の出てくる部分が見えてきません。
デモンストレーションで再現される、起こりうる現実を前にするからこそできるお客様との対話があり、そこで語られる気づきや課題がさらなる安全や使いやすさにつながっていきます。

今後、お越しいただく方への
メッセージ

信頼獲得が価値共創へのスタートライン
これから短絡電流試験装置を利用される方々に
ひと言お願いします。
奥

短絡電流試験装置のオペレータとしてのやりがいを最も感じるのは、規格で規定されていないような特殊な要件が求められる試験を担当する時です。お客様の立場に立って、持てる知見を駆使してどのような条件や試験方法が適切かを検討・実施して、お客様に成果をもたらすことで、信頼を獲得することが大きな喜びです。
またそこから得られた新しい知見や技術を国内外の学会などで論文として発表・査読を経て、技術力をアピールすることがさらに広く信頼を獲得することにつながります。

垣内垣内

昭電のSPDを導入いただくには、やはり製品を含め、昭電なら的確に課題を解決してくれるという信頼感や実績が重要です。そこがお客様と安全という価値を共に高めていくためのスタートラインだと思っています。

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