落雷被害とは
雷とは、雷雲から地表に対する放電現象です。雷には、電流の大部分が建築物などを通過する「直撃雷」や、電源線・通信線などを経由して高電圧が侵入してくる「誘導雷」があります。雷撃によって発生した巨大なエネルギーは「雷サージ」となって電源設備や通信回線に侵入し、機器や設備を破壊・損傷します。
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直撃雷
一般的な落雷で、雷放電による電流の大部分が人体や建築物・樹木などを通過します。
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誘導雷
電源線・通信線やアンテナなどに雷電流からの電磁誘導によって高電圧が発生します。
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逆流雷
建造物への雷撃時、電源を供給している電源線及び通信線へ雷電流の一部が逆流します。
監視カメラシステムの雷被害の影響
落雷による過電流・過電圧を受けると構成機器の内部回路やケーブルが焼損してしまい、物損だけでなく、監視カメラが機能しないことで発生する二次被害による影響も考慮する必要があります。特に遠隔監視による運用はインフラ事業や自治体等行政機関による運用が多く、意思決定を迅速に正しく行うための情報収集手段として自然災害時ほど確かに稼働することが求められます。
監視カメラシステムは雷に弱い
近年の監視カメラシステムは、設置数の増加とともにカメラの小型・高性能化が進んでおり、そのため雷に対して脆弱化の傾向にあります。一般的に監視カメラ本体が監視室とされる場所から離れており、接地が別になっている場合が多いため、落雷でカメラや機器(監視装置など)が破壊されるリスクの高いシステムといえます。
小型化・高性能化が進むにつれてカメラ内部の電子部品化が進み、雷サージに対して脆弱化している
カメラと監視装置本体が別接地になっていて、電位差が発生しやすい
カメラが屋外設置されていて落雷の影響を受けやすい
設備機器を雷被害から守るSPD
SPDは、誘導雷や逆流雷が過電流・過電圧となり、電源線や通信線を通って侵入して来ないよう、安全に放出するバイパスの役目を果たします。対象となる機器種類や系統ごとに適切なSPDを選定する必要があります。
「共通接地化」と「SPD」で雷サージを上手に逃す
接続機器を雷被害から護るには、過電圧・過電流が発生しても、雷サージを機器に侵入させないような対策が必要です。そのための対策が、「共通接地化」と「SPD」です。共通接地化により接地電位の等電位化を図り、また 雷サージ用のバイパス回路を構築することで過電圧・過電流を上手に逃し、雷の影響が機器に及ばないようにします。
LAN対応カメラ
屋外カメラと建物内機器との間の接地間電位差対策にSPDを導入
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監視カメラ❶〈建物A室内〉
監視カメラ①は、HUBなどが設置されている同一建物内に設置されているためHUBやレシーバの接地電位とほぼ同電位になるので、雷被害が発生する危険性は少ない。
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監視カメラ❷〈近距離屋外〉
監視カメラ②は、HUBとは近距離で敷設されLANケーブルで引込まれている。近距離ではあるが別接地となる屋外金属支柱にカメラが設置されており、雷サージ侵入時はHUBなどの建物内機器とカメラ間には接地間電位差が生じます。そのためLAN用SPDを両端に設ける必要があります。
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監視カメラ❸〈遠距離屋外〉
監視カメラ③はHUBなどの機器と遠距離で結ばれているため、レシーバによって同軸変換され敷設されています。この間にも接地電位差が発生するため、両端には同軸用SPDが必要になります。
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監視カメラ❹〈建物B室内〉
監視カメラ④はHUB等の機器が設置されている建物Aと異なる建物B内を監視しているので、やはり接地間電位差は発生します。両端には同軸用SPDが必要です。
- LANケーブルにはシールド付きのSTPケーブルを推奨します。STPケーブルにすることで、LAN心線に侵入する雷サージの低減効果が期待でき、常時ノイズ対策にも有効です。
光ファイバ配線
画像信号回線が光ファイバ化されていても雷対策は必要です
HUBから監視カメラへの画像信号回線を光ファイバ化されている場合、光ファイバからの雷サージ侵入は阻止できます。しかしHUB側およびカメラ側には光⇔メタル変換器を設けることになるため、この変換器電源部には電源用SPDが必要です。 また、光ファイバケーブルのテンションメンバが鋼線の場合、両端設置すると雷サージ侵入経路になってしまうため、 テンションメンバは両端を絶縁するか、片端接地にしてください。特に雷被害の多い環境下ではノンメタリック仕様(FRP繊維)の光ファイバケーブルを推奨いたします。
ハイビジョン対応
電源用SPDと、4K,8Kに対応する同軸用SPDを導入
ハイビジョン画像信号を伝送する場合は、伝送ラインが同軸になるので、4K,8Kに対応する同軸用SPDを屋外カメラ側およびモニター機器側に設置する必要があります。また、電源側にも電源用SPDを設置し、共通接地化を図ってください。
SPD接地はカメラ固定用金属ポール柱などに接続
新たに接地棒を打込んでSPD用接地極を設けるのではなく、SPD接地はカメラが固定されている金属ポール柱や門扉、フェンスなどに接続すれば屋外カメラを保護することが可能です。逆に新の接地極を設けた場合は、金属ポール柱や門扉、フェンスなどとは別接地になってしまうので、SPDの効果を十分発揮させることができません。
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電源コンセント用SPD
TBP-2PE
電源ケーブルより侵入する
雷から機器を保護電源ケーブルより侵入する雷からコンセント接続機器を保護する製品で、本製品を接続するだけでOAタップに接続する全ての機器を雷から保護します。
詳細を見る -
LAN用SPD
TBP-LAN
PC、監視カメラ、情報通信機器を保護する
LAN用SPD雷の侵入が想定されるLANケーブルと、機器側のLANケーブルを本製品に接続するだけで、パソコン、監視カメラ、各種情報通信機器を雷から保護します。
詳細を見る -
BNC形同軸用SPD(監視カメラ用)
ACM-BNCA
監視カメラなどの機器を
雷から保護するBNC形同軸用SPD同軸ケーブルより侵入する雷から監視カメラなどの機器を保護する製品で、本製品を接続するだけで同軸ケーブルに接続する各機器を雷から保護します。
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LAN用SPD(屋外用)
NS-WCAT6
屋外用CAT6対応SPD
ネットワークカメラ、LANの雷保護に適した屋外用SPDで、屋外監視カメラの直近に設置可能です。CAT6対応で、10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T、1000BASE-TXに対応。
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