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2024年9月12日、昭電は、リスク対策.comと共同で、複合的な危機管理・防災対策のあり方や、有効な製品・ソリューションの最新動向を紹介するBCP総合セミナー「サステナブル&レジリエントなBCP対策 〜天変地異時代における防災DXやAIを活用した危機管理の取り組み〜」を開催しました。会場には企業防災担当者などが多数詰めかけ、熱心に耳を傾けていました。
「サステナブル&レジリエントなBCP対策」
セミナー内容
開始に先立って、昭電の加藤雅也(常務執行役員・事業推進部長)があいさつ、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災者への哀悼の意と早期の復興への思いを述べました。
企業にとって災害が先鋭化・大型化する昨今、「サステナブルでレジリエントなBCP対策」が不可欠であること、また、人員、コスト、時間を鑑みて「省人化の対応、DXの利用拡大」が求められていると指摘。昭電の活動を通して、我が国の産業インフラの防災、スマート保安のサステナビリティとレジリエンス強化につなげていきたいと語りました。
基調講演には、防災システム研究所・所長山村武彦氏が登壇。企業にとってBCP(事業継続計画)にコストをかけることはもはやマナーだと強調しました。
氏は、1964年、新潟地震に遭遇して以来、世界の災害現場を周り、調査を重ねてきました。その経験から災害は時と所を選ばないことを痛感。BCPについては、「災害が発生してから出来ることはせいぜい2割にすぎない。事前対策が8割という認識を持って対応すべき」と指摘しました。
事前対策の要となるのは、地域や周辺企業との災害協定や受援計画の整備・再点検、被災後の復旧計画。能登半島地震の被災企業で、十分な生活物資の備蓄や水、電源の確保といった「最悪に備えた受援計画」を整備していたことで、応援に来てくれた関連企業の人たちを迅速に受け入れ、早期の業務再開を果たすことができたという事例を紹介し、「復旧は事前対策に比例する。悲観的に準備し、楽観的に活動することが大事」と説明しました。
また、1995年の阪神大震災の被災地となった神戸で、略奪・窃盗や暴動が起こらなかったことの要因として、スーパーやコンビニが被災後も必死で店を続けていたことを挙げ、企業に求められる事業継続責任の重要性を指摘しました。
「自分たちの企業が事業を継続することによって、その地域の安寧、秩序を保てることもある。自分たちの組織を安全にし防災危機管理体制を高めることは、企業としての使命であり、同時に地域に対する責任でもある」と強調すると、参加者は大いに膝を打っていました。
2番目のプログラムとして昭電の各部署から3名が登壇。災害・セキュリティ対策についてパネルディスカッションが行われ、複合的な防災体制における管理・監視のあり方、スマート保安・監視のあるべき姿について議論を交わしました。
能登半島地震後に行われた企業調査で、企業が改めて大切と考える防災対策として「飲料水、非常食などの備蓄」がトップとなったことを紹介しました。合わせて、これまでに起きた大規模な地震では断水期間が1〜3カ月続いたことを報告。飲料水、生活水の確保が、地震対策の筆頭であることを指摘しました。
その対策として、村井部長は昭電の「大気水生成装置」を紹介。結露の原理を応用し空気から飲料水を作ることができ、平常時は、水道管と直結して浄水器としても使えるうえに、被災時は、井戸水など外部の水を濾過して、飲料水にできるという特徴を説明すると、会場の多くの目が輝いていました。
鈴木は、近年の高密度化、省電力化が進んだ電子機器は、落雷などによる過電圧や静電気に対していっそう弱くなっているとの考察を披露。一方で、落雷は、ここ数年で非常に増えており、雷被害が拡大しつつあると指摘しました。その背景として、米国の科学誌『サイエンス』の記事を引用し、「地球温暖化により気温が1度上がると、落雷が約12%増加する」ことを紹介すると、参加者の口からどよめきがもれていました。
屋外で雷被害を受けやすい精密機器の筆頭として、監視カメラを挙げ、BCP対策の一環として落雷対策が非常に重要であることを指摘。避雷針(受雷部)では対策できない誘導雷やアースから逆流してくる雷などへの対抗策として、昭電の「SPD(サージプロテクティブディバイス)」を提案しました。
花井は、近年の銅価格の高騰により太陽光発電所のケーブル盗難が増加していることを紹介。さらに、窃盗グループの防犯システム突破ノウハウがかなり蓄積されている現状を指摘し、「今まで被害のなかったサイトも、今後、防犯対策を再点検していただく必要がある」との考えを示しました。
対策として、フェンス、監視カメラ、警報装置の果たす役割や課題を解説し、「弱点を補う形で複合化して対策することが重要」と述べ、複合化することで、窃盗を企てる者に「どれだけ諦めよう思わせられるかが重要」と説明すると、熱心にメモを取る姿が見られました。
「監視・管理」についてのトークセッションでは、昭電の八木祥人(執行役員情報機器システム部長)とジェネテック・ジャパンの室川豪氏(カントリーマネージャー)が登壇。物理的な侵入への対策として、ジェネテック社のビデオ監視システム「Security Center(セキュリティセンター)」に注目が集まっていることを紹介し、これからの「フィジカルセキュリティ」について熱論が展開されました。
八木は「Security Center」の提供が増えている背景として、監視・管理運用の効率化、省力化、省人化が求められている可能性を示唆。対応する監視カメラのメーカー・機種が豊富であること、それらを統合してモニタリングできること、さらに、入退室管理システムや生体認証システム、侵入検知センサー、鍵管理システムなど、多数のシステム連携が可能であることなどから、統合的なプラットフォームとして活用できることが評価されているとの認識を示しました。
今セミナーの趣旨であるBCPの観点からも、「震災、落雷、洪水、冠水、浸水といった自然災害を事前に検知して予防するシステムや、盗難、不正侵入、交通災害といった人的災害の予防ソリューションとしても活用できる」と指摘し、発災から復旧までを自動化するような使い方もできると意欲的な提案を行いました。
ジェネテック・ジャパンの室川豪氏は、「Security Center」の強みである柔軟な連携によって実現できるアプリケーションのさらなる可能性を披露しました。
SNSやウェブページ、地震情報、渋滞情報、天気予報などの外部情報を組み合わせれば、災害発生時のBCP運用で大いに活用できるとし、画面構成のフレキシビリティも踏まえ、大学キャンパスや空港ターミナル、データセンターなど多様な施設のBCPにも運用可能だと自信をのぞかせました。
また、チェーン展開している飲食店や小売店であれば、各支店のセキュリティ状況を、本社等で連携・統合しておくことで、事象が発生した場合には本社が通知を受けて管理できる仕組みを紹介。米国のスターバックスがこの仕組みを導入していることも報告しました。
この記事は、2024年9月12日に行われたオンラインセミナー「サステナブル&レジリエントなBCP対策の実現へ」の要旨を再録したものです。 以下の昭電会員サイト(要会員登録/登録は無料です)で、セミナーの模様を映像でご覧いただけます。
▶︎ 〈 災害・セキュリティ対策 〉 ▶︎ 〈 監視・管理 〉 これからのフィジカルセキュリティ対策価値ある X を、確かな安全とともに。